10月の最低賃金引き上げ、賃上げ前に業務改善助成金の申請を

2026年10月、最低賃金が全国的に引き上げられます。引き上げ額の目安は約55円で、地域によっては時給1,300円台になる見込みです。「賃上げの必要性は分かっているが、人件費の増加分をどう吸収すればいいのか」と悩む経営者の方に知っておいていただきたいのが、「業務改善助成金」です。

業務改善助成金とは

業務改善助成金は、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を一定額以上引き上げ、あわせて生産性向上につながる設備投資を行った中小企業・小規模事業者に対して、その設備投資費用の一部を助成する制度です。賃上げの原資そのものではなく、賃上げと同時に行う設備投資(POSレジの導入、調理機器の更新、業務システムの導入など)を後押しする仕組みになっています。

令和8年度の変更点

今年度は、制度の内容がいくつか変わっています。

コース区分の再編:これまであった30円・45円・60円コースが廃止され、50円・70円・90円コースの3コースに整理されました。最低でも時給50円以上の引き上げが必要です。

助成上限額:50円コースは30万〜130万円、70円コースは40万〜300万円、90円コースは90万〜600万円です(引き上げる労働者数や事業所規模によって変動します)。

助成率:引き上げ前の事業場内最低賃金が1,050円未満の場合は4/5、1,050円以上の場合は3/4です。

生産性要件:以前あった生産性要件は、令和8年度も引き続き廃止されています。

対象労働者:雇い入れ後6か月以上経過した労働者が対象です。

最も注意すべきポイント:申請は賃上げの「前」に

この助成金で最も重要な注意点は、令和8年度は賃上げを実施した後に申請する「事後申請」が認められないということです。交付申請を行い、認められた後に賃上げと設備投資を実施する、という順序を守る必要があります。

つまり、10月に最低賃金が引き上げられることを見越して、賃上げを実施する前の今の時期から準備を始める必要があります。「10月になってから対応しよう」と考えていると、助成金を活用できないまま賃上げの負担だけを抱えることになりかねません。

今すぐ確認しておきたいこと

まず、自社の事業場内最低賃金が、引き上げ後の地域別最低賃金を下回っていないか確認してください。下回っている場合、業務改善助成金の対象になる可能性があります。次に、賃上げとあわせてどのような設備投資が生産性向上につながるかを検討します。POSレジ、券売機、調理・製造機器、業務効率化システムなど、対象になる経費の幅は広いため、日頃「導入したいが踏み切れていない」設備があれば、このタイミングで検討する価値があります。

まとめ

10月の最低賃金引き上げは、多くの中小企業にとって避けられない負担増です。業務改善助成金は、その負担を設備投資という前向きな形に変えられる制度ですが、申請のタイミングを誤ると使えなくなってしまいます。賃上げを実施する前に、まず自社が対象になるかどうかを確認することから始めてみてください。

健康経営ラボでは、業務改善助成金をはじめとした各種助成金・補助金の申請サポートを行っています。「うちは対象になるのか」「どのコースが合っているのか」といった段階でも、お気軽にご相談ください。

よくある質問

Q. すでに賃上げを実施してしまった場合、申請はできませんか?

A. 令和8年度は事後申請が認められていないため、原則として交付申請前に実施した賃上げは対象になりません。これから賃上げを予定している場合は、実施前の申請をおすすめします。

Q. 個人事業主でも対象になりますか?

A. 中小企業・小規模事業者であることが条件のため、従業員を雇用している個人事業主も対象になり得ます。事業場内最低賃金など他の要件も満たしているか確認が必要です。

Q. 複数の設備投資をまとめて申請できますか?

A. コースごとに設定された上限額の範囲内であれば、複数の設備投資費用をまとめて申請することが可能です。詳細は最新の交付要綱でご確認ください。

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