「健康経営に取り組んでいるが、次の一手が思いつかない」という中小企業に注目してほしいのが、2025年に創設された「食育実践優良法人顕彰制度」です。
従業員の食生活改善に取り組む企業を国が顕彰する制度で、健康経営優良法人制度と連携して運用されています。
本記事では制度の概要と、企業が取り組める食育施策、11月に申請受付が始まる持続化補助金の活用法をまとめます。

食育実践優良法人顕彰制度とは
食育実践優良法人顕彰制度は、従業員への健康的な食事の提供など、食生活の改善に向けた取り組みとその評価を行っている企業を農林水産省が顕彰する制度です。
企業内の活力向上と、優良な取り組みの横展開を目的として、2025年に経済産業省の健康経営優良法人制度と連携する形で創設されました。
「食育実践優良法人2026」では333法人が初めて認定され、申請期間は2025年8月18日〜10月31日、認定期間は2026年4月1日〜2027年3月31日でした。次回の申請も例年同時期(8〜10月頃)に行われる見込みのため、健康経営優良法人と合わせた計画的な準備が有効です。
なぜ「食」が健康経営の課題になるのか
経済産業省の調査では、出勤していても心身の不調でパフォーマンスが落ちる「プレゼンティーイズム」が、心身症・運動器や感覚器の障害・メンタルヘルス不調と結びついていることが分かっています。
これらの背景には食生活の乱れによる生活習慣病リスクがあり、従業員個人の健康課題にとどまらず、企業の生産性に直結する経営課題として注目されています。健康経営優良法人の認定基準でも生活習慣病予防・食生活改善は評価項目の一つであり、食育は健康経営の土台になる取り組みといえます。
企業が取り組める食育の具体例
食育実践優良法人顕彰制度で評価対象となるのは、従業員の食に関する知識・意識の向上や、体験型の活動などです。中小企業でも着手しやすい例として、次のようなものが挙げられます。
- 社員食堂・弁当手配における栄養バランスに配慮したメニューの提供
- 管理栄養士等の専門家を招いた食生活セミナーの実施
- 朝食欠食対策としての社内での軽食提供
- 社内報やポータルサイトでの食に関する情報発信
- 健診結果を踏まえた個別の食生活アドバイス
これらは大がかりな設備投資を伴わずに始められるものも多く、健康経営優良法人の申請準備と並行して取り組みやすい領域です。
11月開始の持続化補助金は食育の取り組みにも活用できるか
中小企業庁が実施する小規模事業者持続化補助金(一般型)は、第20回の申請受付が2026年11月5日に開始し、事業支援計画書(様式4)発行の受付締切が12月4日、申請受付締切が12月15日17時となる予定です。補助上限は通常50万円で、インボイス特例や賃金引上げ特例を組み合わせると最大250万円まで拡大し、補助率は2/3(赤字事業者は3/4)です。
対象経費には広報費やウェブサイト関連費(それぞれ上限30万円、単独申請不可)などが含まれており、食育の取り組みを社内外に周知するための広報物制作や、専門家を招いたセミナーの実施費用などに充当できる可能性があります。対象経費に該当するかは事業計画の立て方によって変わるため、商工会議所・商工会や認定支援機関への事前相談をおすすめします。
なお、食習慣改善の取り組みに使える公的支援制度は持続化補助金だけではありません。産業保健活動推進助成金や働き方改革推進支援助成金、自治体独自の健康経営支援補助金など、目的や条件に応じた選択肢については「健康経営ラボ_コラムvol.6」でも詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。
まとめ
食育実践優良法人顕彰制度は始まったばかりの制度で、先行して取り組む企業はまだ多くありません。健康経営優良法人の取得を目指す中小企業にとって、食育は次の差別化ポイントになり得ます。11月開始の持続化補助金の活用も視野に入れながら、できる範囲の取り組みから始めてみてはいかがでしょうか。
健康経営ラボでは、食育実践優良法人・健康経営優良法人の申請準備から、持続化補助金の活用相談まで、中小企業の状況に合わせたサポートを行っています。まずは自社で何から始められるか整理したいという段階でも、お気軽にご相談ください。
よくある質問
Q. 食育実践優良法人と健康経営優良法人は両方取得する必要がありますか?
A. 必須ではありません。ただし両制度は連携して運用されており、健康経営優良法人の取り組みの一環として食育を位置づけることで、申請準備を効率化できます。
Q. 持続化補助金は食育実践優良法人の申請費用そのものに使えますか?
A. 認定申請自体の手数料ではなく、食育の取り組みを実施・周知するための広報費やセミナー費用などが対象経費に該当する可能性があります。詳細は公募要領および商工会議所・商工会への確認が必要です。
Q. 従業員数が少ない会社でも食育に取り組む意味はありますか?
A. 従業員数が少ないほど一人ひとりの健康状態が会社全体のパフォーマンスに直結するため、中小企業ほど取り組みの効果を実感しやすいといえます。
